編集思考の3つの柱について学んだところで、今日からはいよいよ、あなたの「強み」という素材を見つける具体的なステップに入っていきます。
多くの方が「自分には人に誇れるような強みなんてない」と言います。編集者として25年以上、数多くの人の「価値」を編集してきましたが、強みがない人など一人もいません。ただ、その正体と見つけ方を知らないだけなのです。
強みの正体とは何でしょうか。それは、「あなたが無意識に、当たり前にできてしまうこと」です。
例えば、会議で複雑に絡み合った議論を、いつも自然と整理して「つまり、論点は3つですね」と要約できる人。本人にとっては、散らかった本を本棚に片付けるくらいの「当たり前」の行為かもしれません。しかし、議論が迷走して困っている他のメンバーから見れば、それは喉から手が出るほど欲しい「宝物」のようなスキルです。
あるいは、友人の誕生日プレゼントを選ぶとき、いつも相手が心から喜ぶものを的確に選べる人。本人は「相手のことを考えていたら、自然とこれかなって」と思うだけかもしれません。プレゼント選びにいつも悩んでいる人からすれば、それは「魔法」のように見える才能です。
このように、強みとは、自分にとっては「息をするように」できてしまうため、その価値や希少性に気づきにくい、という性質を持っています。むしろ、少し苦手意識があったり、努力して身につけたりしたことの方が「スキル」として認識しやすいため、そちらにばかり目が行きがちです。
なぜ、私たちは自分の「当たり前」の価値に気づけないのか
心理学に「ジョハリの窓」というモデルがあります。これは、自己分析のフレームワークですが、強み発見にも応用できます。このモデルには「自分は気づいていないが、他人は気づいている自分」という領域があり、「盲点の窓」と呼ばれます。あなたの「当たり前」は、まさにこの窓に隠されているのです。
この「盲点の窓」を開ける最もシンプルで強力な方法は、「他人に聞くこと」です。
「私の得意なことって、何だと思う?」
「私がいると、どんな時に助かる?」
少し勇気がいる質問かもしれませんが、ぜひ、信頼できる友人や同僚、家族にこの問いを投げかけてみてください。きっと、あなた自身が「え、そんなことが?」と驚くような答えが返ってくるはずです。
私自身も、独立当初、自分の強みがわからず悩んだ時期がありました。
その時、当時のメンターに言われたのが「上野君の強みは、どんなに複雑な話でも、たとえ話を混ぜながら、誰にでもわかるように説明できることだ」という言葉でした。
この言葉を聞いた時、私のアタマに浮かんだのは大きなクエスチョンマークでした。だって、私にとっては、それはごく自然な会話の癖のようなもので、強みだなんて思ったこともなかったのですから。
しかし、その「当たり前」が、後に「編集思考」というフレームを生み出し、私のコンサルタントとしての活動の核となったのです。
強みは、あなたの中にすでにある。ただ、光が当たっていないだけ。そのことを、まずは信じてみてください。
明日は、より具体的に、あなたの中から「素材」を掘り起こすための技術についてお話しします。

